POOR LOVE

静かな断末魔

麻酔-2023.10.16

手足がひどく怠い 今日もいい天気で、夏のベタつきは涼しい風が全部流していった 陽の光がキラキラを抱き始めている 鈍い頭痛 ついに客からの着信に応答できなくなった 入社時と変わらず、少しも崩すことなくワイシャツと黒のパンツスーツを着て、薄っぺらい笑みをなんとか浮かべている 子供の時に紙で作った着せ替え人形をぼんやりと思い出した 喫茶店でヨーグルトのジュースを頼む 煙草との相性が最悪 思考がまとまらない うまく話せない 原稿を書こうにも、適切な単語がどうしても思い出せない 今日一日中やってたことの記憶がない 生きてる心地がしない 今どこにいるのかも気を抜くとわからなくなる 感情がなくなるのが怖い 毎日ビビッドに生きていたいのに。身体の輪郭すら自覚できない 痛みが欲しい 目が覚めるような もしかしたら私はずっと眠っているのかもしれない

 

 

 

 

水面に立つ-2023.10.15

19:00頃

よその家の晩ごはんのにおいを嗅ぐと温かくてうっすら寂しい気持ちになる 今日は日が完全に落ちるまで意識と身体の電源を落としていました 未だちゃんと動いてくれず、視界はおしなべてグレーの状態 このままうっかり沈んで行かないようにと出来うる限りの抵抗をし、小さな絶望感を見ないふりして嚥下 悲しい気持ちの根源を辿るのは今やるべきことじゃない

 

20:00頃

休めば休むほど自分が疲れていることに気がついてしまうから、ずっと忙しくさせて欲しい こんなに慌ただしい最近ですら退屈の呪いはチラチラ顔を出しにくるし いいんだよそんな律儀さ要らないんだよ、と追い返しては自分のことをちょっと嫌いになる

 

21:00頃

目の前にあるスーパーに買い物に行き、クリーニングを出し、帰宅して一息ついていると突然めまいの発作が グニャグニャふわふわグルグル 耳が聞こえない 焦る焦る焦る、大丈夫大丈夫大丈夫、やばいやばいやばいかも、脳内で小さい人間が何人も走り回っているような感覚 吐き気と、過呼吸と、吐き気と、涙 今日は大丈夫だと思ったのにな 痺れる指先で愛する人への祈りを送信し、埃まみれのフローリングに頬をつける 視界には飲みさしのペットボトルとお酒の瓶と脱ぎ捨てられた靴下がころがっている ああ、まだ私はこんなところにいる 真っ暗な部屋に煌々と浮かび上がるiPhoneの画面には、ウェディングドレス姿の同級生のおだやかな笑顔が映し出されている かわいいな、と掠れた声でつぶやいていた

 

3:00頃

動悸がおさまらない 息が固体になったようにうまく吸えない、苦しい 眠れない いつかこんな夜がなくなったらいいのにな 弱々しい願いをからっぽな部屋の隅に放り投げても手応えはまるでありませんでした 嘔吐 曖昧な寂しさを言葉にできないまま他人に縋る 臭くて汚い人間がここにいる 全部消えてしまえばいいのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠視-2023.10.13

コンビニの灰皿からオプションのフィルターが燃える化学的な甘い匂いが漏れ出していて懐かしい気持ちになる 冬になるにつれて、風に煙のような埃っぽい匂いが混ざってくる 毎年例外なく感じる季節の澱が、今年も私の体を通過していく

どれだけ痛い思いをしたいと思っていても、案外安全に泳いで行けてしまうのは私の防衛本能なのだろうか 傷は例外なく治癒されてしまう 何かを捨てることがこんなにも難しい それを失くすこと自体より、何かを失う別れ自体が、うすら寂しいだけのくせに。何ひとつ、こだわりを持って愛せたことなんてないくせに。それが在るということ、それを失うということ そういう曖昧で実体のない肌触りだけに意識を持っていかれ、左右されてしまう そのもの自体の具体性にまで目が及ばないことが本当に悲しくて寂しい 愛はここにたくさん余っているけれど、”あなた“である必要性はさほど無いのだ 善さだって一つではないから、”これ“や”この日々“である必要もない。理想に近い広い愛に近づいてはいるものの、ただこれは無理やり一般化して思考を諦めているだけではないのか?私ですら、私である必要がなくなってきてる…フワフワ宙に浮いて、自分の身体が、自分のことばが、脳が、感情が、欲が、全部バラバラになって無重力に漂ってるみたい。目を見張るような強烈な具体性を以て、私を孤独から引き剥がしてよ 大切に探り当て積み重ねた倫理的な愛を、傍若無人に奪ってよ 私がいなくならないように。今の私には、そういう類の強い光が必要なのだと思う それがたとえ愛ではなかったとしても。毒だって、ある時には有用な薬となるように

 

 

 

 

秋の夜長の嘘の幽霊 -2023.10.12

なんの因果か2年前の同じ日に書いた記事のことをふと思い出し、当てずっぽうでIDとパスを入力すると廃村を発見したので再・再開発をすることにした。

POOR LOVE 我ながら良いタイトルだと思う…

 

今日は金木犀に出会ったと言う人が多く、もうそんなところまで冬が侵食してるのかとびっくりした。秋はただの境界線になってしまったようで でもその方が似合ってると思った 私はまだ嘘の金木犀しか実感してないけど 枯れて落ちて、アスファルトで乾いたゲロの様相になる前に私も本物を体感したい。秋も、金木犀も 本当にあるのかわからないのに、何故かその存在を信じてしまう

 

今日は買った覚えのない南瓜を煮ました 今年の南瓜は甘いとおばあちゃんの言った通りでとても美味しく、ホクホクをビールで流し込むのが心地よかった 相変わらず生きてる実感がないけど、日々がどんどん具体性を帯びていき、身体に質量が取り戻されていくのを感じる。とっても喜ばしく、同時に、それは少し怖いこと 半透明の身体に慣れすぎたのだと思う 吸う空気にさえ質量がある、ただそれは胸の中で滞り重くなるものではなく、血液と一緒に体内を巡りながら、魂に必要な栄養素を溶かしていくような 透明で季節に溶けることのできる清潔な幽霊から、日々を凝視する汚くて臭い動物・人間に、否応なしに回帰していく この喜びのことをどうやってあなたがたに伝えたら良いのか、私には術がなく、無力で情けないと感じます

 

秋の夜は長いと言うけど、本当かなと疑うような毎日に、私は簡単に幸せと言ってしまうのでした。おしまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曇りガラス -2022.10.13

日記をはじめるのは多分15回目くらいだと思う。それほどに何かを地道に継続するということが苦手な性分で、それは社会に適合しにくいと言うことを少なからず示唆してる気がする。


仕事を定時ちょっと過ぎにおわり、会社のビル前でセブンスターを吸いながらNTTドコモの一生繋がらない電話にコールし続けている。スピーカーにした携帯電話からはアホみたいなbgmが垂れ流しになっており、バカにされているみたいな気分になる。NTTドコモです。ただいま大変電話が混み合っております。そのままお待ちいただくか、しばらく経ってからおかけ直しいただくようお願いいたします。


電話待ちで5本吸った。結局1週間連絡待って、土日祝の工事が不可との回答。仕方ないんですけど、どうしたらいいんでしょうか 途方に暮れました  今やインターネットがなければ生活できないし、私のahamoはギガがそんなに多くない


今日も仕事はクソがつくほどつまらなく、なんとかして毎日を楽しく生きられないものかと模索しているけど、心のスイッチをオフにして幽霊にならないと出社することすらままならない

魂を意図的に抜いて、ある種の瞑想状態でストレスをいなすというような毎日を過ごしていると、本当に指の先から透けていくような感じがする 幽霊の感覚は今に始まったことではないけれど


こっちの世界の食べ物を食べないと体が透けて消えてしまうが、食べようとしても胃が拒否して吐き出してる ハクがくれる赤いやつ

手を繋いで橋を渡ってくれる役割の人はおらず、ただ消えゆくのを他人事のように傍観して物語が終わります 宮崎駿ごめん


引き継ぎアポの同行中、先輩に冷めてんなあと言われたけど、どちらかと言うと私の心を勃起させられない世界の方に問題があると思う。実際に、バキバキになるときもあるから 私の中身が私で充満して、毎日が勿体無いほどキラキラする日々を、何がなんでも望んでいる。というより、生き続けるためにはそれが不可欠なのだろう。あると知ってしまうと、知らなかった時には戻れない。


満ち足りた時間を過ごして心に灯った小さな火種を、灰色の暴風からなんとかして守って、酸素を送り込んで、見つめて、咀嚼して日々を過ごしている。妄想と現実が入り混じり嘘ばっかりついてしまう。

頭の中の曇りガラスの向こうに映る微かな面影はどんどん遠ざかっていくばかりで、それでも現実は止まってくれない もう匂いすら思い出せない

 

怠惰というほかない -2022.04.10

手放すかどうか迷うなら大胆に断捨離してスッキリしたほうが経済的なのわかってるのに身の回りぐちゃぐちゃにして曖昧さに安心してしまう

車窓から見える川と向こうの街が薄紫に霞んで濁って、曖昧に透明な夕方の尊さと、触れる手の軽薄さ

朝5時の人通りのない知らない街/何度も訪れた目に馴染んだ風景/何も積み重ねられなかった幽霊の両腕

画面が鮮明であったことがいちどもなく、ただ他人事のように自分の身に降りかかる様々なことを横目に見ている アメーバのような自分の体を醒まして元の形に戻して欲しい

心が何も跳ね返さない。音がしない。

不安な静寂の中に、いつまでいるつもりなの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  -2022.04.05

無料の世の中全然おもんないのに金もなかったら何があんねん もう3大欲求の充足しかないやろ それですらお金がないと満足に執り行えないというのに アホか クソみたいにしょうもない娯楽だけジャブジャブに溢れてるけど 誰が本当に欲してるんですか??遠回しに寂しさを紛らわせてるだけにすぎないようなことに、たくさんの時間を犠牲にして得た雀の涙みたいな金を注ぎ込んで、自分が満足してるのかどうかすらわからんのでしょう 体しか無い はよせえよ

 

 

 

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