POOR LOVE

静かな断末魔

POOR LOVE  -2021.10.12

何もかも説明的すぎて嫌になる

私の手や爪は、自分が思っているよりとても小さくて、比べるとおもちゃみたいに見えた

へんな汗をかき続けている 私が誰ひとりまともに抱きしめられないのを、ちゃちいこの手のせいにしてもいいですか ひとを気安く傷つけてしまうのを、ささくれたこの爪のせいにしてもいいですか だめですか、そうですよね

この嘘みたいな自分の体を使って、できうるかぎりを掻き集めて、それに火をくべて燃えている私の命の炎に他の誰かを巻き込むことを、愛とは呼べないですか 愛って何ですか 質問 ウケてしまう 探すことを、愛とか、触れることを愛とか、言ってる間に通り過ぎてしまうものではありませんか 寡黙が高潔ですか 饒舌がゴミであることは知っています 威嚇が高潔ではないことも 誰かに触れられうる距離を以て、柔軟ででこぼこな膜を持つこと それって教養ですか 誰しもを傷つけずに、どうやって自分と誰かを守ればいいですか。

わたしだってそのうち死にます こんなにも若くて健康なのに。いつか死ぬ。

きれいな箱をもっていると思った 骨ばった指は白くて匂いがしなかった 長い睫毛の奥の目には、私の知らない温もりがあった そんなあなたも例外ではなく、いつか力尽きて、大きくしなやかなからだを土に落としてしまう 静かに優しく目を閉じるそのときに、あなたに掛けてあげられるように、がんばってブランケットを編んでいます 怖いですか

家族のことは、今は少し好きです 友達はあまりいません 特別な人たちがいます、それを、友達というのかもしれません 仲間がいます 彼らは光を持っていて、同時にポケットに地獄をもっています それらをわたしと共有してくれる 見せ合いっこして、それについて発言することを許しあえている いつか光と地獄が対消滅して命の発光が見られるとき、そばにいられたらいいと思います 大切にできたとしてもできなかったとしても、私はぜんぶを両腕いっぱいに抱いて死にゆく それまでにたくさんのことを知りたいと思う

大人なあなたがたがわたしを見て、今がどれだけ滑稽でも、どれだけ愚かでも、生きるという状態を紡ぎ続けるしかない 守りたい自分と誰かのために、この無意味かもしれない呼吸を抱いて、少しでも強くなりたい そのことを許してもらいたい 歩いて行く方向など無く、小さな脚を下手くそに地面にへばりつけて、ただ目の前を見つめています